第1章: タイ現地DX推進の実態 蓄積データの収集から有効活用へ
製造業においてDXを推進していくにあたっては、蓄積されたデータを正確に収集することが何よりも重要となります。一方、タイではそこの基礎ができていない製造現場が多くあり、何から手を付けて良いのか分からないというお悩みを頻繁にお聞きします。Thai NS Solutionsでは、まず、お客様と共に業務の全体を俯瞰して見直すことで現場に潜んでいる課題を洗い出し、課題のプライオリティを付けます。その後、お客様の目指すべきITロードマップの検討や、システム導入を進めていくことによって、製造現場の業務効率化によるコスト削減や製造品質の向上等を着実に実現し続けています。
本コラムでは、これから数回に渡り、弊社で考えるタイにおけるDX推進の勘所について、実績を交えながらご紹介させていただきます。
製造業においてのDXとは、ものづくりの現場で培ったノウハウやデータを経験値として蓄積していくだけでなく、デジタル化により情報を共有しやすくすること。それをリードタイム短縮・生産性向上・品質向上などに生かし、収益モデルに変革をもたらすことが目的です。
DX成功のカギは、集めたデータを有効活用して経営資源にフィードバックすることです。
クラウド・ビッグデータ・アナリティクスを駆使して様々なデータを統制する「つなげる力」、それをBI・AI・他アプリケーション上で活用して経営に活かす「あやつる力」が歯車のように回ることが、DXの理想形です。
これを実現するには、データが正確に集められていることが前提となります。
▲製造業におけるDXロードマップイメージ
(出典)2021年3月15日 日本製鉄グループ中期経営計画「つなげる力」「あやつる力」
タイでも広がりつつあるDXですが、根幹となるデータ収集が不十分な製造現場が多いのが現状です。
例えば、モノと情報の一致が製造現場で実現できていないケース。こうした場合は、いかにデータを活用し、判断をスピーディーに下せる仕組みを整えたとしても、結果が出ることはありません。実態を正しく反映していないデータに基づいて修正を行なっては、かえって現場が混乱するだけの可能性もあります。
また、上記はDX化やデータ利活用を目指されている企業のケースですが、もう一歩手前のところで、非効率的な手作業を「当たり前」と思い込んで多くの時間と人手を割かれている企業も多く見受けられます。ここタイにおいては、単にシステムを導入すれば上手く行くかというとそうでもなく、作業者が正しく使いこなせず導入したシステムが使われずに放置されていたり、まともに使えていないケースも多く見受けられます。そういったこともあり、毎年着実にIT化を推進されている企業と比較すると、DX化推進のスタート段階ですでに大きな遅れとなっています。欧米や中国系企業のデータ利活用も進んできていますので、早い段階で共にIT化を推し進めさせて頂きたく考えています。
次章では、一般的な製造現場でのデータ活用によるシステム化例と、Thai NS Solutionsの強みについてご紹介させていただきます。
28-01-2022