タイ現地MES導入プロジェクトの実態➂
Date : 19-08-2026
タイにおけるMES導入の進め方
前回のコラムでは、タイにおけるMES導入の背景や課題についてご紹介しました。
今回はその続きとして、実際にタイでMES導入を進めるにあたり、どのようなステップで進行すべきか、実践的な観点から解説いたします。
MES導入の基本ステップ
MES導入は単なるシステム導入ではなく、現場業務の見直し・標準化を伴うプロジェクトです。一般的には以下のステップで進めることが推奨されます。
① 現状業務の可視化(As-Is分析)
まず最初に行うべきは、現場の業務を正しく把握することです。
- 工程フローの整理
- 作業手順・ルールの確認
- 現場データ(紙・Excelなど)の収集方法の把握
特にタイでは、実態とドキュメントが一致していないケースも多いため、実地ヒアリングや現場観察が非常に重要です。
「システム要件定義」よりも前に、「業務の見える化」にしっかり時間をかける!ことが最初の一歩です。
② あるべき姿の定義(To-Be設計)
次に、MES導入後に実現したい姿を明確にします。
- トレーサビリティを確保したいのか
- 不良率を下げたいのか
- 作業効率を改善したいのか
目的によって、導入すべきMES機能や優先順位は大きく変わります。
例:
- 品質重視であれば → ロット管理、工程品質管理
- 効率重視であれば → 作業指示・実績収集の自動化
③ スモールスタート(PoC / Pilot導入)
タイでの成功事例に共通するのは、「いきなり全体導入をしない」ことです。
- 1ラインのみ導入
- 特定工程のみデジタル化
- トレーサビリティ機能のみ先行
といったスモールスタートを行い、効果検証を実施します。これにより、以下のようなメリットが得られます。
- 現場の抵抗を最小化
- 早期に成果を可視化
- 改善サイクルを回しやすい 等々
④ システム設計・連携設計
PoCや部分導入の結果を踏まえ、全体設計へ進みます。
重要なポイントは以下です:
- ERPとのデータ連携(製品・指示・実績)
- 設備データの取得方法(PLC連携 or 手入力)
- マスタ整備(品目・工程・設備など)
タイでは設備環境が多様なため、「標準化しすぎない柔軟な設計」が求められます。
⑤ 教育・定着化
導入後の成否を分ける最も重要なフェーズです。
- 現場教育(操作トレーニング)
- 現場リーダーの育成
- KPIの見える化(活用促進)
よくある失敗ケースとしては、「導入して終わり」になってしまい、現場で使われなくなることです。
対策としては:
- シンプルで直感的なUI設計
- KPIダッシュボードの活用
- 現場にとっての“メリット”を明確にする
タイ特有の成功ポイント
実プロジェクトを通じて見えてきた、タイならではの成功要因もご紹介します。
① 言語対応とUI/UX
- タイ語対応を強く推奨
- アイコン・色分けなど視覚的UIが有効
② 現場文化への適応
- トップダウンだけでなく現場巻き込み型
- 「監視される」ではなく「楽になる」ことを訴求
③ 現地と本社のバランス
- 本社標準を押し付けない
- ローカル最適とのバランス設計
まとめ
タイにおけるMES導入を成功させるためには、
- 現場起点での業務理解
- スモールスタートによる段階導入
- 現地文化・ITリテラシーへの配慮
が非常に重要です。
MESは単なるITツールではなく、現場改革を推進するための“手段”です。
段階的に着実に導入を進めることで、品質・コスト・納期の改善を実現することができます。
最後までお読みいただき有難うございました。ご質問、ご相談事等ございましたら、お気軽にご連絡ください。
"
+ NS Solutions" は日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
その他本文記載の会社名および製品名はそれぞれ各社の商標または登録商標です。